2018/03/03

スペシャル対談:小川大介(中学受験情報局)× 菊池健太郎(テアトルアカデミー)

中学受験のスペシャリスト小川大介氏が、テアトルアカデミーとのコラボレッスン開講!

 

中学受験のスペシャリストとして注目されている小川大介先生が、テアトルアカデミーとのコラボレッスン「自信が育つ親子の特別講座」を開講!その画期的な内容と大きな効果に、受講生から感謝と賞賛の声が多数寄せられています。
今回は、コラボレッスンの企画者であり保護者担当講師を務めた小川先生と、子ども担当講師を務めた菊池健太郎先生のお二人に、レッスンの企画意図、芸能活動と学習の関係、現代の親子関係と課題などについて対談していただきました。

 

構成/大和優雅

 

 

■フィクションとノンフィクションを行き来する子どもたち
演技は「最強の学習メソッド」と言える!

 

菊池――小川先生がテアトルアカデミーとのコラボレッスンを意識されたのはどんなきっかけだったんですか?
小川――20年以上塾講師として子どもたちの学習にかかわるうち、「体を通した学び」に大きな可能性を感じるようになったんです。中学受験でも運動をやっている子は最後の踏ん張りが強く、特に剣道やバスケなどの「止まる」「動く」の切り替えが激しいスポーツをしている子は学習に対しても適応力が高いんです。そこで、「体を動かすトレーニング」の優れた専門家と、学習の専門家である私たちのノウハウを組み合わせたら絶対にすごいことができると思ったんです。
菊池――「体を動かすトレーニング」という点で、テアトルアカデミーのレッスンに興味を持っていただいたと?
小川――そういうことです。
菊池――芸能界で活躍している子が、偏差値の高い小中学校に入学する例は少なくありません。私も以前から「芸能と学習には何らかの関係性があるのかな」と感じてはいたのですが、明確な答えは見つけられなかったんです。
小川――芸能、特に演技は「最強の学習メソッド」と言ってもいいくらいだと思います。
菊池――最強ですか!?
小川――そうです。菊池先生は、子どもたちにとっての「演じる」という行為はどんな営みだととらえていますか?
菊池――難しい質問ですが……ひと言で言えば、子どもたちにとっては日常的な行為だと思います。ヒーローごっこで夢中になって遊んでいても、ご飯の時間になればすぐに通常の自分に戻る。そしてまた遊びの時間になったら、何かに変身してそのものになりきることができちゃう。子どもたちは普段からフィクションとノンフィクションを行き来しているんですよね。
小川――「フィクションとノンフィクションを行き来する」というのは、さすが菊池先生らしい素晴らしい表現ですね。子どもたちはいつでも自分と違う存在になれるということですね。
菊池――そう思います。さらに「演じること」つまり自分と違う存在になることで、他人の気持ちを理解できたり、物事を読み解く力になったり、人間力を形成するきっかけになっているんだと思うんです。
小川――演技は変化であり、イコール成長と言ってもいいくらいの体験なんです。演技をしている時間は感性の引き出しが開かれていますから、あらゆる分野の可能性が大きく広がっています。例えば、これはいつか実践してみたいことでもありますが、「成績が良い子の役」という課題で集中的に演技レッスンを行ったら、その子たちはかなりの確率で実際に勉強が得意になると思いますよ。つまり、テアトルアカデミーの子どもたちは「演じる」という行為でたくさんの可能性に巡り合っているんです。これって本当に素晴らしいことですよ。そこを保護者の方が理解されると、テアトルアカデミーのレッスンが何倍も有効になると思います。「演技=芸能活動」という面だけをとらえて「オーディションに合格するか」という一点ばかりをご覧になってるんだとしたら、それはすごくもったいないことですよ。
菊池――本当にその通りだと思います。私は、演技表現の楽しさや素晴らしさを実感していますが、その一方で、オーディションという形で優劣が判定され、その結果に本人もその保護者も一喜一憂してしまうという状況にもどかしさを感じていました。
小川――受験も偏差値や合否という形で優劣が判定されてしまうわけですが、親子の心持ちが変わるだけで取り組みが楽になるんです。私たちが連携することで、親にとって負担過多で閉塞感のある現在の子育てに風穴を開けられるのではないかと考えているんです。

 

■現代は「親が親である自分を学び直す時間」が必要な時代

 

小川――コラボレッスン「自信が育つ親子の特別講座」は、月一回講座を三ヶ月、つまり三回のレッスンで終了する構成にしました。三ヶ月三回というプログラムがどれだけの効果をもたらすのか注目していたのですが、私の予想を何倍も超える効果や変化があったように感じました。
菊池――私もそう思います。保護者の皆さんが抱きがちな「親はこうでなければいけない」という不安を取り除く良い機会になったと思います。
小川――「このレッスンがなければもう限界でした。芸能活動がようやく楽しくなりました」という声も受講者からいただきました。その方たちは「子どもがうまくできないことが気になってしまう。できないことがあると怒ってしまう。そして、そんな自分が許せない」と思い詰めていたようです。学習においても、我が子を他の子と比べてしまう、または他の親と自分を比べ、やがて自分を否定して苦しむという親は多いんです。そんな方たちが苦しまずに、笑顔で取り組める環境を作ることが、このコラボレッスンの大きな役割だと感じました。
菊池――親子関係に悩んだとき、小川先生のレッスン資料やテキストを読み返して復習しているという方も多いようです。
小川――現代は「親が親である自分を学び直す時間」が必要な時代だと思うんです。そのきっかけになってくれたら嬉しいですね。
菊池――そう思います。
小川――菊池先生から見て、今回のレッスンで子どもたちにはどんな変化が見られましたか?
菊池――「これで正しいのかな?」といつも大人の目を意識していた子どもたちが、それをやめて自信を持って自分の考えを言えるようになりました。
小川――スポーツでも勉強でも「これでいいのかな?」と大人に確認しているうちは本当の力が出せないんです。「頑張っているところは見て欲しい。でも、正解かどうかは大人に確認したくない」という思いは、実はどんなジャンルでも大きく伸びるポイントなんです。
菊池――子どもたちは「親はちゃんと見てくれている」と実感できたことで、自信を持って表現できるようになったんですね。
小川――そう思います。私も親として感じることがあるんですが、親子というのはお互いに「全てを理解したい、理解して欲しい」という思いと、でも決してそうはならない「苛立ち」があるんです。レッスンが進む中で子どもたちが「親は自分のことをちゃんと見てくれている」と信じられるようになったというのはすごいことです。子どもたちを理解し、また保護者のことも理解して指導できる先生方がいてこそ得られた効果だと思います。

 

■子どものポジティブな面に目を向ける意識と声かけで、子どもたちはさらに大きく成長する

 

菊池――小川先生から見て、テアトルアカデミーの課題や改善点はどんなところだと思いますか?
小川――テアトルアカデミーの先生方は経験豊富ですし、お世辞抜きでとても優秀です。でもそれだけに、保護者の方々に対して言葉足らずになっているところがあるような気もします。先生方が当たり前のように感じ取れる子どもの成長に、実は親が気づいてないことも多いんじゃないかと思うんです。例えば「今日のレッスンでこんな変化がありましたよ」というちょっとした報告で、親は子どものいろいろなことに気がつけるのではないでしょうか。また「こういう視点を持てば、今まで気がつかなかった成長に気がつきますよ」というアドバイスがあれば、親の不安は相当軽減されるような気がします。
菊池――そうですね。たしかに、私たちが子どもたちの特徴をお話しすると「え?そうなんですか?」と保護者に驚かれることもあります。
小川――親以外の大人がその子の良い面を見つけてあげられる環境というのは、テアトルアカデミーの誇るべき長所ですから、最大限に活かすべきだと思います。一方で、保護者の側も「オーディションに受かるにはどうしたら良いでしょう?」ということだけではなく、うちの子は「子どもの成長をもっと感じ取りたい」という姿勢が必要だと思います。「どこを直せばいいですか?」という弱点探しではなく、「どんなことが得意ですか?」「何に興味を示していますか?」という伸びしろを探す意識で先生方とお話しして欲しいですね。子どものポジティブな面に目を向ける意識と声かけで、テアトルアカデミーの子どもたちはさらに大きく成長すると思いますよ。それを実現するために、私もさらに頑張りたいと思います。
菊池――ありがとうございます。小川先生とのコラボレッスンは、テアトルアカデミーにとってとても大きな取り組みだと感じていますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

小川 大介(おがわ だいすけ) 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。 大手進学塾で看板講師として活躍した後、中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1を設立。その後現職にも就任。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は5000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。著書多数。

 

菊池 健太郎(きくち けんたろう) テアトルアカデミー入社後約8年、赤ちゃん部門・幼稚部・児童部のレッスン及びマネジメントを担当。その後3年半、札幌校のエリアマネージャーを務め、現在は東京校にて経営企画課に所属。主に子ども部門のイベント企画・運営などに携わっている。